株式投資における複利とは?|複利の仕組みと活用テクニックを伝授

株式投資は複利運用が基本。

長期投資を行うなかで、「もっと効率的に資産形成をしたい」と思ったことはありませんか?
せっかく投資をしているのですから、増やせる資産は多い方がいいですよね。

長期投資の場合は、株価の値動きをさほど気にすることなく、安定して利益を受け取れるメリットがあります。
ただ、安定感はあっても利益額が小さいのが長期投資の悩みどころ。

そこで注目したいのが、複利です。

この記事では、複利の仕組みと効果的な活用テクニックについて解説していきます。
ぜひ長期的な資産形成に役立ててくださいね。

株式投資における複利とは?

長期投資において絶大な効果を発揮するのが複利です。
複利効果によって元手自体を増やし続けられることを知っておくと、資産形成の効率がアップします。

ここでは、株式投資における複利そのものについて解説していきます。

効率的に利益を上げる複利の仕組み

複利とは、利益を投資に回して、新たな利益を加速度的に生んでいくことを指します。

投資に成功すると、元本に応じた利益が生じます。
ここで考えられる選択肢は、以下の2つです。

  1. 利益を投資に回さず元本の金額を変えない
  2. 利益を投資に回して元本の金額を増やす

1を選んだ場合は、次回得られる見込みの利益は今回と同額です。
しかし、2を選んだ場合は、元本の金額が増えた分だけ、次回の利益も大きくなると考えられます。

2は複利運用と呼ばれ、元本と利益を丸ごと次の投資に回すことになります。
元本が増えれば増えるほど、手に入れられる利益も雪だるま式に増えていきます。

複利運用の強みは、時間経過によって複利効果が増大していく点です。
それだけに、長期投資と複利運用は切っても切れない関係にあるといえます。

複利効果は“72の法則”で計算できる

実際に、複利を使うとどれくらい利益が増していくのかを計算式してみましょう。
最も有名な計算方法として、“72の法則”と呼ばれるものがあります。

“72の法則”とは、年利の大きさによって資産が2倍になるまでの年数を簡単に計算できる公式です。

72の法則
72 ÷ 年利 = 資産が2倍になる期間

例えば、年利が4%であれば、72を4で割った18が答えになります。

72 ÷ 4(年利)= 18(資産が2倍になる期間)

つまり、年利4%で複利運用した場合、18年で資産が2倍になることが分かります。
それでは、複利効果を具体的な計算によって検証してみましょう。

◎元本100万円、年利4%を複利運用したケース

年数 計算式 利息(累計) 元利合計
1年目 100万円 × 4% 4万円 104万円
2年目 104万円 × 4% 約8.16万円 約108.16万円
3年目 約108万円 × 4% 約12.49万円 約112.49万円


17年目 約187万円 × 4% 約94.79万円 約194.79万円
18年目 約195万円 × 4% 約102.58万円 約202.58万円

18年目で元本100万円の2倍、200万円を超えることが確認できました。
このように、“72の法則”は複利効果を簡易的に計算する際に役立ちます。

複利運用は単利運用の成果を大幅に上回る

複利と対になる言葉が単利です。
単利とは、元本のみを再投資し続けた場合の利息を指します。

単利は複利と異なり、途中で得た利益を再投資に回しません。
そのため、いくら時間が経っても年利が増えることはありません。

◎元本100万円、年利4%を単利運用したケース

年数 計算式 利息(累計) 元利合計
1年目 100万円 × 4% 4万円 104万円
2年目 100万円 × 4% 8万円 108万円
3年目 100万円 × 4% 12万円 112万円


17年目 100万円 × 4% 68万円 168万円
18年目 100万円 × 4% 72万円 172万円

18年目の元利合計は複利運用が約203万円、単利運用が172万円です。
およそ30万円の差が生じることが分かります。

差が生じた原因は、単利運用では何年経っても元本が100万円のままで、年利が増えないためです。

つまり、長期投資を行ううえで単利には旨味がありません。
効率的に資産を増やしていく方法としては不適格といえます。

複利運用によって雪だるま式に利益を増やしてこそ、長期投資を選ぶ意味があります。

複利効果を最大化するための3つのテクニック

複利で得られるリターンを効率よく増やしていく方法はいくつかあります。
しかし、どれも難しいものではありません。

株式投資を始めたばかりの方や、複利の仕組みを理解しきれていない方でも問題ありません。
ぜひ実践してみてください。

ここでは、複利効果を最大化するためのテクニックを3つご紹介していきます。

《テクニック1》早いうちから株式投資を始める

すでに触れたように、複利運用は長期投資でなければ難しいといえます。
短期投資は得られる利益額が不安定ですから、じっくり腰を据えた戦略は採れません。

反対に、長期投資は定期的に入る配当金により、利益額が安定しています。
配当金とは、企業が稼いだお金の一部を株主に還元するお金のことです。

配当金のように毎期の利益額が安定していれば、複利効果は確実に表れます。
しかも、前述の通り複利効果は投資期間が長くなるほど増大していきます。

「投資は若いうちから始めた方がいい」という言葉があります。
時間を味方に付けることで、複利効果の恩恵を大きくできます。

《テクニック2》元本を増やすことを心がける

複利運用と併せて意識したいのが、元本の増額です。
当たり前ですが、元本が多くなるほど見込める配当金も増えていくからです。

余っている預貯金やボーナスなどの臨時収入を投資に回せないか、検討してみましょう。

とはいえ、株は価値が目減りする危険のあるリスク資産です。
預貯金に余裕がなくなるほど、投資に回すことは絶対にしてはいけません。

その場合は、「配当金だけは必ず再投資に回す」などと決めておくとよいかもしれません。

複利効果を最大限引き出すためには、再投資する金額の大きさが非常に重要です。
配当金は、無理のない範囲でなるべく再投資に回すとよいでしょう。

《テクニック3》NISAで税金と取引手数料を減らす

配当金を含む株式投資の利益には、約20%の税金がかかります。
しかし、NISA(少額非課税制度)を使えば、配当金が課税されません。

また、株を売買する際には取引手数料がかかります。
ただ、NISAを使う場合は、取引手数料が無料となる証券会社がほとんどです。

つまり、NISAを使うと利益が減りにくくなり、そのぶん再投資に回せるようになります。
複利効果を最大化するためには、NISAの利用は必須といえるでしょう。

また、まとまった数の株式を購入する場合、2回に分けたほうが手数料が低くなる場合があります。

まとめ

株式投資というと、短期投資で一気に利益を狙うイメージがあります。
しかし、短期投資は一般的に投資経験がなければ成り立ちません。

反対に、長期投資は初心者でも取り組みやすいのが特徴です。
その理由に挙げられるのが、複利効果の存在です。

複利効果を活用すれば、少額から始めた場合も最終的に大きな資産になりえます。
投資期間という時間を味方に付け、NISAを活用して再投資できる金額を増やしながら、複利効果の最大化を図っていきましょう。

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