株式投資で得られる金銭的利益は2つのタイプがあります。
1つは値上がり益。売った時の株価と買った時の株価の差で、「キャピタルゲイン」とも呼ばれます。
もう1つは株主配当金で、投資した会社が事業で得た利益の一部を、出資者である株主に還元するお金です。株主配当金の額は、投資家にとって投資判断の材料にもなります。株主配当金を使った代表的な投資指標には、「配当利回り」と「配当性向」があります。
今回は、「配当利回り」について、わかりやすく解説していきます。
株式投資は配当利回り4%~5%が理想的|利回り重視のリスクも解説目次
株主配当金とは
株主配当金は、通常、「配当金」と呼ばれ、1株当たりの金額で示されます。半年や1年といった、決算の対象期間に会社が稼いだ利益の一部を、株主にキャッシュバックするものです。
株主は、その株式を保有している間、決算が訪れる都度、保有する株式数に応じた金額で配当金を受け取ることができます。基本的には利益の一部ですから、投資した会社の業績しだいで増減するのが原則です。
けれど一昔前は、利益が多かろうが少なかろうが、毎年恒例で同じ金額を配当する会社が多く見られました。最近は、以前に比べれば、決算期ごとに利益に連動した金額で配当金額を決めるようになっています。
前年度より配当金額が増えることを「増配」といい、減ることを「減配」といいます。赤字などのために配当が出ない場合は、「無配」といいます。
投資判断の参考にするなら、今後の配当予想
投資家としては、投資の判断をするにあたって、終わった年度の決算より、現在進行形の年度や次の年度の配当予想を重視するのが一般的です。投資家にとって重要なのは、過去の配当金額よりも、「今後、いくらの配当金を受け取れるか」だからです。
配当利回りとは
配当金を使った投資指標で、最もメジャーなのが「配当利回り」です。その株式を1年間持ち続けた場合、投資した金額に対してどれだけの配当金がもらえるか、の割合です。投資金額に対する利回りを見る指標です。
配当利回りは、直近の株価と今期配当予想で計算する
配当利回りを指標として使う場合、分母の株価は直近の株価を用います。新聞や雑誌、マネーサイトなどでは、欄外などにいつの株価か日付が明記されているはずです。
分子の配当金は、今期の業績予想で示されている配当予想を使います。予想なので金額が変わることがありますが、業績予想が修正されたら修正後の配当予想を使い、常に最新の予想金額を使って計算します。
その理由は、配当利回りは「いま、この銘柄に投資をしたらどれだけの投資収益が得られるか」を見る指標だからです。過去の確定した配当金額を使って計算しても、あまり意味がないのです。
分母の株価については、「自分の買い値で計算するのでは?」といった質問を頂くことがありますが、それは、あくまでもその投資家にとっての収益利回りの計算です。投資指標としては、現時点の株価について、その銘柄の投資利回りが高いか低いかを判断するための尺度なので、現在値と今期の配当予想で計算をするのが妥当です。
また、株式市場全体の配当利回りの平均を使って、長期国債の利回りなどと比較をすることがあります。それは、株式投資が他の投資と比べて、相対的に有利かどうかを判断するためです。
まとめ
配当利回りは、現在の株価で投資をした場合、投資金額に対してどれだけ収益が得られるかを示した指標です。
株式投資の2つのタイプの利益のうち、値上がり益は相場環境に大きく左右され、投資収益の予測は難しいです。一方、配当利回りは、配当予想を使って計算できるため、投資判断をする時の参考資料となります。投資指標として有効に活用してみて下さい。
株式投資は配当利回り4%~5%が理想的|利回り重視のリスクも解説