年末調整や確定申告で申請する控除として、生命保険料控除があります。
支払った保険料に応じて、税金が軽減される制度です。
日本人は8割以上の方が生命保険に加入していますが、最大でどのくらい控除を受けることができるか皆さんはご存知でしょうか?
今回は、制度の概要とメリットについて解説していきます。
目次
3つの控除区分
生命保険料控除には「新制度」と「旧制度」がありますが、2012年(平成24年)1月1日以後に締結した契約が対象になる「新制度」について確認していきます。
まず、保険の内容で以下の3つの控除区分に分けられます。
一般生命保険料控除
死亡保険・学資保険などの保険料
介護医療保険料控除
医療保険、がん保険、介護保険などの保険料
個人年金保険料控除
個人年金保険料税制適格特約を付加した個人年金保険などの保険料
区分ごとの限度額(上限)
それぞれの区分において、年間にどれだけ払っているかで控除額が決まります。
所得税
年間の払込保険料80,000円以上で最高40,000円の所得控除
住民税
年間の払込保険料56,000円以上で最高28,000円の所得控除
制度全体としての合計限度額(上限)
制度全体として3つの区分の合計の所得控除限度額があります。
所得税
所得控除限度額:120,000円
住民税
所得控除限度額:70,000円
※住民税の所得控除限度額はそれぞれ28,000円ですが、合計した場合は単純に3倍にならず70,000円が限度額です
税の軽減額は?
所得控除を受けたことでいくら税金の負担が下がるのでしょうか。
【目安:年収800万円の夫婦世帯】
所得税率20%、住民税10%の税率として、最大の控除を受けた場合は、
120,000円×20%+70,000円×10%=31,000円
ここに復興特別所得税(基準所得税額×2.1%=500円)が加算され、
合計31,500円
という金額の税金が軽減されたことになります。
効率の良い加入のケース
控除の恩恵を最大で受けるには、3つの控除区分の適用となる保険にそれぞれ年間80,000円以上の保険料を支払っていると良いということになります。
ただ、年間支払い保険料は区分ごとに80,000円以上で控除額は一律ですから、最も効率の良いのは上限額である年間240,000円を払込むケースということになります。
先ほどの事例のように所得税率20%、住民税10%の税率とすると、年間240,000円支払って、税金が31,500円戻ってきます。実質、割り引きされて208,500円で保険に加入できているようなイメージです。
貯蓄性の高い保険の場合、実質利回りが向上していることと同等になります。
実際に、有利な枠の範囲のみを消化する(税制メリット受ける)目的で、支払い金額を調整して契約している方もいらっしゃいますね。
これは積立NISAでいうと「年間40万円は投資しておいた方が得だ」という考え方に似ています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
生命保険は「相互扶助」「助け合い」の精神から成り立つ仕組みですが、実は資産形成の手段にもなり得る、貯蓄性の高い商品もあります。
不必要な保険に加入するのは感心しませんが、税制メリットを理解して上手に活用するのであれば、資産形成の土台として有効といえそうですね。