個人事業主になるには?個人事業主を目指す際のメリットと注意点について解説

個人事業主になるには

世の中の働き方が多様化しており、近年ではフリーランスやノマドワーカーというような仕事のやり方を選択する人も、徐々にではありますが増えてきています。

しかし、個人事業主になるには一体どうしたらいいのか、わからない人も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では「個人事業主になるには」について詳しく解説していきます。

個人事業主を目指す際の、注意点とメリットについてもまとめているので、ぜひ参考にしてくださいね。

個人事業主とは

個人事業主とは、個人で独立して事業を行う人のことを指します。

例えば弁護士や医師、公認会計士、税理士、クリーニング、美容業、飲食店などが個人事業者の例としてあげられるでしょう。

もっと厳密にいうと法人を設立せずに個人で事業を営んでいる状態であり、継続的に報酬を受け取っている場合、個人事業主と見なされます。

この時、個人事業主になる為に重要な事は「開業届」の提出です。

開業届を提出していなくても、個人事業主を名乗ることはできますが、正式に認められるためには税務署へ「開業届」を提出しなければなりません。

開業届の提出によって青色申告ができるなどのメリットがあるため、必ず手続きを済ませておきましょう。

個人事業主になるには事前準備を十分にしておいた方がその後のスタートがスムーズですし、サラリーマン時代には経験しなかった手続きなどが出てきますので、細かい作業にはなりますが、気を抜かずにしっかりと準備しましょう。

個人事業主になるときの2つの注意点

特に注意しておいて欲しい準備として2点あげておきますと、サラリーマンから個人事業主になる場合は「退職届の提出と必要書類の受け取り」「住宅ローンやクレジットカードのチェック」があげられます。

注意点1:退職届の提出と必要書類の受け取り

サラリーマンから個人事業主になる場合は、まず会社に退職願を提出し、退職する際に雇用保険被保険者証、源泉徴収票、年金手帳を忘れずに受けとってください。これらの書類は今後の活動でも必要になりますので、必ず確認しておいてください。

また、円満に退職しておくと今後の仕事にもつながる可能性もありますので、トラブルにならないような辞め方を心がけて下さい。

注意点2:住宅ローンやクレジットカードのチェック

ここでの一番の注意点は金融機関から見た場合の、あなたの審査面での信用度合いの変化です。

現実的な話をしますと、金融機関からの信用はサラリーマン時の方が格段に高い場合が多いのです。

住宅ローンやクレジットカードの加入などは会社員の時に済ませておいた方が無難です。

退社時の注意点を述べましたので、次のステップに進みましょう。

個人事業主を開業するときの2ステップ

個人事業主を開業するときには、下記のステップが必要になります。

ステップ1:税務署で開業届提出と、青色申告の手続き

まずは税務署で事業開業の届出を行う必要があります。

事業開業の届出は税務署(国)の他に市役所(市町村)に対しても行う必要があります。

また青色申告を行うと、所得税の計算時に節税のメリットを受けることができるため、事業開業の届出と同時に青色申告の承認申請書も提出しておくようにしましょう。

ステップ2:国民健康保険・国民年金への加入

開業届などの各種届出の提出が終えた後は、国民健康保険、国民献金への加入を済ませましょう。

退職後、14日以内に国民健康保険と国民年金への加入が必要になります。

会社の健康保険を任意継続することも可能ですが、その場合は退職後20日以内の手続きが必要で、最長2年間の期限付きという点にご留意ください。

また、厚生年金から国民年金へ切り替えると会社員と比べて将来もらえる年金が減ることになります。

そのため、将来に備えて個人型確定拠出年金(iDeCo)などの利用も検討しておくことをお勧めします。

個人事業主で得られる3つのメリット

とはいっても、サラリーマンの時とは異なり、個人事業主にはいくつかのメリットがあるので、以下にそれを見ていきましょう。

メリット1:働いた分だけ収入を得られる

個人事業主は会社に雇用されているわけではないので、自分でビジネス(報酬を得られる仕組み)を作る必要がありますが、サラリーマン時とは違い自分で自由に仕事、業種を選ぶことができます。

クリエイターやエンジニア、プログラマーとして高レベルな実力があり、高単価な仕事を受注することが出来れば、サラリーマン時の収入よりも数倍にすることは夢ではありません。

個人事業主は自分の実力を直接的に報酬に反映させることができます。

メリット2:法人に比べて手続きの処理が簡単

法人を設立する場合は開業の際に登記の必要があり、定款の作成、税務関係の準備など数多くの手続きを行う必要があります。

また費用も収入印紙代(電子定款の場合は不要)、公証人に払う手数料、定款の謄本手数料、登録免許税などを合わせると、「株式会社 : 約24万円」「合同会社 : 約10万円」がかかります。

一方、個人事業主の場合は開業届を提出するだけで完了します。

もしも、事業の追加や内容の変更を行う場合、法人の場合は定款の変更が必要ですが、個人事業主の場合は必要ありません。

また、法人は会計処理が複雑な部分があり、加えて社会保険や年末調整など手続きがなかなか大変で、多くの場合、会計事務所の力を借りること(会計事務所にお金を支払い業務を行ってもらう)になりますが、個人事業主の場合は比較的に簡単に済ませることができます。

メリット3:節税対策になる

まず、サラリーマンの場合を見てみると、サラリーマンの場合は給与所得控除があります。

給与所得控除は、給与収入額ごとに何段階かに分けて決められおり、実際の経費の支出に関わらず受けられます。

例えば、2020年度のケースをみると、給与収入が180万円以下の場合は「収入金額×40%-10万円」55万円に満たない場合は一律で55万円となります。

また、850万円を超える場合は195万円で一律です。

180万円以下と850万円以上の中間となる給与収入額の場合、収入に応じて給与所得控除は増えていきます。

段階的に異なった計算式を用いるため、年収が高いほど給与所得控除の割合は小さくなります。

それが個人事業主の場合は、確定申告を青色申告で行うと青色申告特別控除を受けられ、2020年以降は55万円となります。(電子申告または電子帳簿保存の要件を満たす場合は65万)

そして、これがサラリーマンと比べての利点と言えるところなのですが、個人事業主は、実際に事業のために使った経費を必要経費として控除することが可能です。

そのため、個人事業主の青色申告特別控除と必要経費を足した額が、売上を給与収入としてみた場合の給与所得控除を上回る場合、会社員として実際の経費が給与所得控除を上回っているケースよりも税制上有利になるのです。

    <経費一例>

  • 仕事上で使用するインターネット料金や郵便料金、携帯電話料金
  • 取引先との打ち合わせのための交通費
  • コピー用紙や文房具などの消耗品費
  • 自宅を事務所として使用している場合、その比率分の家賃と光熱費など

その分税金が安くなるので、ぜひ覚えておいてください。

個人事業主になるには:まとめ

個人事業主になるという事は、自分自身の足で立って商売していくという事です。

サラリーマン時代には経験しなかったような苦労を伴う事もあるかもしれませんが、その分、苦労と努力が収入となって跳ね返ってきますので、前向きな気持ちで臨んでくださいね。