投資信託は「初心者向け」なのに「難しい」と思うあなたへ

投資信託の始め方

投資信託は「初心者向け」と言われます。なのに、本当に初めての人からは、「難しい!」という声も多く聞かれます。難しいのに、なぜ初心者向けなのでしょう。また、初心者が投信を理解するには、どうしたら良いのでしょうか。

「初心者向け」と言われる2つの理由

初心者向けと言われる理由は、主に2つ。1つは、少ない金額でも分散投資ができる点です。もう1つは、運用をプロに任せるというしくみの面からです。

「初心者向け」理由①:少額で分散投資ができる

投信は、元本保証でないリスク商品。資産の価値が、日々、変動します。さまざまな投資対象に分散し、値動きの振れ幅を抑える効果があります。自分の大切なお金が毎日のように増えたり減ったりすることが怖い、または慣れていない人は、投信の特徴である「分散投資」が向いているというわけです。

ただし、さまざまな投資対象に分散するには、多くの資金が必要です。ですが、投信は、大勢の投資家が持ち寄ったお金を一つの大きなお財布で管理するようなもの。数百種類の投資先に分散投資ができるのです。

投信の最低購入金額は、証券会社や銀行が決めています。額面1万円のケースが多く、最低金額としては、数千円から数万円台ぐらい。積立方式なら毎回100円から積み立てできる金融機関もあります。無理のない金額で、数十~数百種類の株式や債券などに分散投資ができるのです。

「初心者向け」理由②:運用をプロに任せるしくみ

本来、どんな株式を買おうか、債券を買おうか、日本だけでなく海外にも投資をしようか、などと投資先を決めるのは、投資家自身です。さらに、売買のタイミングを判断するのも投資家自身。けれど投信は、それを投資信託会社(運用会社)にアウトソーシングします。

例えばあなたが「アメリカの景気が良さそうだから、アメリカの会社に投資したい」と思ったとします。けれど、具体的にどの会社に投資したら良いかの判断は難しいもの。そこで、特徴が「アメリカの株式で運用します」と説明されている投信を選びます。その投信は、運用会社(投資信託会社)が、「株価が上がりそうな会社は?」「売買のタイミングは?」「アメリカの政策や、世界情勢は?」など、気になる事柄を調べて判断し、投資家から集めた大きなお財布の中身を運用するのです。

難しいと感じるのは

「じゃあ、トライしてみよう」と、投信の説明に目を通すと……。今度は言葉が難しい。しくみが複雑。結果が不確定。分からないことだらけです。

分散投資は良いけれど、ちょっぴり複雑

株式を一銘柄買うのなら、その会社について調べれば良いだけなのでシンプルです。一方、投信は、株式や債券などをたくさん買い集めるパック商品。良いのか悪いのか、何を見て判断したら良いのかが分かりにくいのでしょう。

こうすれば投信のハードルは下がる!

まず基本になるのは、その投信のパンフレットやWEBサイトで「運用の方針」を確認することです。次に、その投信の「基準価額」をチェックします。基準価額とは、投信の値段です。パックされた大きなお財布の価値、と思ったら良いでしょう。

毎日、世の中の出来事の影響で、投信の基準価額は日々、変動しています。お財布の中にどんな投資対象がパックされているかによって、基準価額の動きは異なります。投資対象とは、先の例であれば「アメリカの株」。他には「日本の株」や「アジアの株」などもあり、「世界の株が半分と、世界の債券が半分」「株と債券と不動産」のようなミックスタイプなど、いろいろなパターンがあります。

投資対象を踏まえ、日々のニュースと基準価額の動きとの間に、どんな関係があったかを考えてみましょう。難しく考えず、あなたが消費者として、社会人として、分かる範囲で、身近な出来事から感じたことから想像してみるのです。

解説は「投資家向けレポート」で

投信の値動きを見て、一喜一憂する必要はありません。また、値動きの理由について、正解を当てる必要もありません。どんな背景の時にどんな値動きをするのかを、自分なりに理解するための思考です。

解説は、その投信の運用会社(投資信託会社)が定期的に発信している「投資家向けレポート」などに目を通すと良いでしょう。それを繰り返すうちに、難しさも薄れてきます。専門用語にも慣れてくるでしょう。

無理のない金額で、習うより慣れろ

よく「理解できないものに投資をしてはいけません」などと言われます。もしそれが正しいのなら、理解できない人は、投信を買ってはいけないことになってしまいます。しかし、少額でできるのが投信だったはず。まずは実際に身銭を切って投資経験を積んでみることです。習うより慣れろ、です。

実際に投資をしながら、山あり谷ありの環境で積み重ねた経験は、ノウハウ本やブログを読むよりも、セミナーを聞くよりも、数倍の学習効果があると思います。

まとめ

少額で分散投資できる投信は、資産運用のトライアルとして有効です。投資経験を積む道具として、投信をうまく活用しちゃいましょう。