投資信託は「運用をプロにお任せする金融商品」と言われます。このプロとは、投信の運用会社のファンドマネージャーです。
ただ、全面的におまかせではなく、任せているのは投信の運用実務です。数多くある投信の中から買いたい投信を選ぶのは投資家自身。任せる前に、投資家が自分の判断で、投信を選ばなければなりません。
目次
運用会社の資料を活用
投信選びや運用状況のチェックをする場合、判断材料になるのは投信の説明サイトや運用会社が作成した説明書です。ネットで情報収集をする場合、投信の運用会社や販売会社のWEBサイトでお目当ての投信のページに入ると、詳しい説明を見ることができます。
銀行や証券会社などの店舗を利用して投信を購入する人は、まずは店頭のパンフレットなどが説明書の入り口になるかと思います。紙一枚、または数ページでできているパンフレットは、簡単な説明です。お目当ての投信について詳しい情報を知りたい場合は、店頭で「投資信託説明書(交付目論見書)」を受け取ってチェックします。
また、投信の運用状況は、運用会社が作成したその投信の開示資料を読むと良いでしょう。決算期ごとに作成される「運用報告書」は詳しい資料ですが、十分過ぎる内容を読み解くのは容易ではありません。読みやすいのは、「月報」「マンスリーレポート」などと呼ばれる投資家向けレポート。直近の情報が盛り込まれているのでおススメです。
これらの資料は、運用会社や販売会社のサイト、投信情報サイトからダウンロードできます。
投信の説明、チェックポイント
では、これらの資料のどこを読んだら良いのでしょうか。押さえておきたいポイントをご紹介しましょう。
投信の特色・目的
説明サイトや資料の冒頭には、「投信の特色・目的」が書かれています。主な内容は、以下の通りです。
投資対象地域
国内、海外、国内外といった、投信の中で運用する資産はどの地域を対象にした証券なのか
投資対象資産
株式、債券、不動産投信など、その投信ではどのような資産に投資をするのか
各投資対象への投資比率
上記の投資対象地域や投資対象資産について、その投信ではどのような配分で投資するか
決算の頻度と分配の方針
決算の頻度は、毎月、隔月、年に4回、2回、1回など
分配の方針とは、決算を行って利益を分配するか、それとも利益を分配せずに運用資産に組み入れる(無分配)かの区別
投資リスク
資料には、必ずリスクに関する記載があります。その投信の基準価額の変動には、どのようなリスクが影響するかが説明されています。例えば、株式で運用する投信なら株価変動リスク、外貨建て資産を組み入れている投信なら為替変動リスク、外国証券に投資をするならその国の情勢が影響するカントリーリスク、などがあります。
運用報告書などの詳しい資料には、リスクの管理体制や、リスクの変動幅に関する過去の実績も説明されています。
また、投信のリスクについては「投資信託のリスクをやさしく解説!しくみを知れば怖くない」で説明していますので、ご参照ください。
費用・税金
購入時手数料や運用中にかかる運用管理費用(信託報酬)が、何に対してかかる費用なのか、また、それらの料率が書かれています。これらの費用は、同じような投資対象の投信と比較すると良いでしょう。
投信のコストについては「投資信託の手数料、何にどれだけ払うのかを知っておこう」で詳しく解説しましたので、ご参照ください。
運用実績、基準価額、純資産の推移など
過去の基準価額や純資産総額の推移がグラフや表で示されています。過去の収益分配金の情報も掲載されています。
販売会社
投信は、運用会社が運用し、販売会社が販売をしています。運用会社は「○○投信委託」「▲▲アセットマネジメント」といった名称の会社。いわば投信の「メーカー」です。
一方、投資家が投信を購入する銀行や証券会社は、販売会社です。投信の「小売店」の役割です。投信の各種資料の最後には、その投信をどの販売会社が取り扱っているかの一覧が掲載されています。中には運用会社が直接販売する投信もあり、これを「直販」と呼んでいます。
自分の投資方針をはっきりさせる
これらの資料は、全部読み込もうとすると大変なので、ポイントを押さえた読み方をしたいものです。まずは、投資家自身が、投資をするにあたってこだわりたい点や気になる項目をピックアップします。例えば、「分散投資に徹する」「低コスト」「リスクはなるべく取りたくない」「過去の運用実績が良いこと」など。これらの中で優先順位を決めて、投資方針をはっきりさせましょう。
資料の読むべきポイントは、ズバリご自身がこだわりたい項目です。複数の投信の間で比較してみましょう。
投資方針は人それぞれで、みなさん違うようです。投資対象を重視したい人もいれば、コストを気にする人、リスクが大事と思う人、過去の運用実績にこだわる人、販売会社ありきで選ぶ人、いろいろな投資家がいらっしゃいます。
まとめ
日本で販売されている公募投信は6,000銘柄弱あります。まずは自分の投資方針を固めること。その上で、投信の説明資料の必要なところを読み、いくつかの投信を比較します。自分の考えを明確にし、それに合う情報を拾い、ぜひ「自分に合った投信」を選んでくださいね。