「保険料が戻るという保険を聞いたことがあって、それに入ろうと思うんだけど…」とご相談があります。この保険のしくみ、そして本当にお得なのかどうか、解説していきます。
目次
“使わなかった分”の保険料が戻る!?とはどういうこと?
この保険の種類は医療保険が該当します。医療保険とは、入院や手術を受けた際に給付される保険です。
所定の年齢までに支払った保険料のうち、「入院や手術で支払われる給付金などを“受け取っていない分”が戻る」というものです。この戻る保険料のことを「健康還付給付金」と呼びます。
「新しいタイプ」の保険と言われていますが、実は2013年に東京海上日動あんしん生命保険にて、「メディカルKit R」という商品名で販売されました。ちなみに正式名称は、「医療総合保険(基本保障・無解約返戻金型)健康還付特則付加」といい、この「健康還付特則付加」が「使わなかった保険料が戻る」しくみをプラスしていますよ、というものです。
東京海上日動あんしん生命保険のほか、楽天生命も同様の保険があります。
実際にチェックしてみましょう
たとえば、41歳女性が加入したケースで見ていきます。
1日入院したときの給付金額6,000円
1回の入院で支払われる日数の限度60日(がんなどの場合は120日に延長)
病気で入院後、通院したときの1日あたりの給付金額3,600円
手術を受けた時に受け取れる金額は、3万円または12万円
がんで放射線治療を受けた時の給付金が12万円
がんや・急性心筋梗塞、脳卒中(入院時)になったら、50万円
先進医療を受けた時2,000万円まで(実費)
毎月の保険料は、7,149円の一生涯支払うタイプ(終身払)です。この場合70歳までに支払う保険料の合計は248万7,852円、このうち70歳で戻る保険料(健康還付給付金)は184万5,792円です。
したがって70歳までに実質支払った保険料は64万2,060円、月にならすと1,845円です。
いかがでしょうか?現在の保険料7,149円から比べると、だいぶお得に感じるのではないでしょうか。
保険料が戻ったあとは…?
もしこのまま70歳でこの保険を解約した場合、掛け捨て分は64万2,060円で済むこととなります。しかし果たして70歳で医療保険、解約するでしょうか?入院や手術のリスクは高齢になればなるほど高くなり、心配や不安が募ることでしょう。
70歳以降もこの保険を続けた場合、いくらになるのか?
今まで支払っている月々の保険料は変わることはありません。このケースでは月々7,149円です。70歳でもし年金暮らしの場合、保険料の負担も大きく感じるかもしれません。
仮に85歳まで生きたとして、この保険に加入し続けた場合、支払う保険料の合計は192万8,880円となります。保険料が戻ってきても、それ以上に支払うこととなります。
41歳から85歳までの月々3,653円の掛け捨ての保険に入っていたとも言えます。しかしもし給付金を受け取っている場合、戻るはずの保険料からその分は引かれてしまいます。月々3,653円の掛け捨ての保険に入っていた場合と違うのはこの点です。
この保険に加入する際の3つの注意点
- 自分に入院や手術のリスクは少ないか?
(給付金を「受け取っていない分」が戻るため、給付金を受け取ってしまうと、その分は引かれてしまいます) - 70歳でこの保険を解約できるか?
(老後の医療保険は本当に不要か) - 保険料が戻るタイプにこだわる必要があるか?
加入するときには、上記を踏まえた上で検討してみてくださいね。