株式投資において最も時間をかけることになるのが、銘柄選び。
銘柄選びに迷うのは、口座開設を終えたばかりの初心者の方だけではありません。
むしろ、株式投資を実践し始めた方こそ銘柄選びに困るものです。
実際、日本には約4000にものぼる株式企業の銘柄があります。
それだけに、銘柄選びに迷ってしまうのも無理はありません。
この記事では、あなたが株式投資において銘柄を選ぶときに役立つ知識をご紹介いたします。
参考にしていただければ幸いです。
目次
3つの視点から銘柄選びの候補を絞る
株式投資に慣れるまでは、人気の高さや評判だけで銘柄の良し悪しを判断したくなるものです。
しかし、SNSなどの根拠のない情報や、誰かのうわさ話などで投資先の銘柄を選んではいけません。
貴重な自己資金を投資するだけに、自分が納得できる銘柄を選ぶべきです。
したがって、初心者の方が銘柄を選ぶときは、ご自身が興味を持っている分野を事業として手がけているような、身近に感じる企業から検討するとよいでしょう。
それだけでも、候補となる銘柄の数がだいぶ絞れるはずです。
そのうえで、さらに以下の3点を確認して、実際に買ってよい銘柄かどうかを判断します。
- 営業利益の推移が右肩下がりではないか?
- 事業内容から企業の将来性に期待できそうか?
- 長期にわたって付き合っていけそうな企業か?
それでは各ポイントについて、もう少し具体的に伝えていきたいと思います。
1.営業利益の推移が右肩下がりではないか?
株式投資する企業の業績は、真っ先に確認しましょう。
業績が下がり続けている企業を投資先に選んでしまうと、大事な自己資金を失いかねません。
手っ取り早く業績の推移を把握したいときは、営業利益に注目するのがオススメです。
営業利益については、各企業が公表しているIR情報や、「業績推移」などの検索ワードを入れてGoogle検索することで確認できます。
もし直近2~3年において営業利益が伸びている銘柄なら、今後も成長していくことが期待できます。
反対に、営業利益が下降傾向にある銘柄であれば、手を出さないのが無難です。
少なくとも株式投資に慣れるまでは、どんなに好きな会社であっても株式の購入を見送るべきでしょう。
2.事業内容から企業の将来性に期待できそうか?
選んだ銘柄が今後も成長できそうかを見極める際に重要となるのが、事業内容です。
企業の事業内容について調べておくべきポイントは、2つあります。
1つ目は、主力事業の業界シェア。
自社ならではの強みがある、業界特性として他社が新規参入しづらいといった事情があれば、安定的な経営が期待できます。
2つ目は、将来的に育てようとしている事業。
業界にもよりますが、同じ事業を続けているだけの企業は成長が望めないでしょう。
今後も業績を伸ばしつづけるためには、新規事業がカギを握ります。
ただし、新規事業が一時的なブームに乗ったものでは意味がありません。
将来を見据えた、長期的に需要を掘り起こしていける事業かどうかが大切です。
3.長期にわたって付き合っていけそうな企業か?
株式とは本来、企業の事業を支援する目的として、株主が出資するための仕組みです。
出資の見返りとして、株式会社は株主に配当金などを還元します。
配当金は、投資金額に対して年利2~3%(後述する、配当利回り)が一般的です。
したがって、それほど大きなリターンが見込めるわけではありません。
しかし、銘柄を長期保有しているだけで配当金を受け取れるのは魅力的です。
また、日本の上場企業の約3~4割は、配当金以外に株主優待を用意しています。
株主優待とは、企業が自社商品・サービスなどの優待品を送る制度のことです。
配当金と同じく、株式を長期保有している方が対象になります。
株主優待は、必ずしも自社商品・サービスを対象としているとは限りません。
それだけに、その会社独自の株主優待を用意している銘柄は、より魅力的に映ることでしょう。
このような配当金・株主優待を踏まえて、長期的に株式投資したい銘柄を選んでください。
銘柄の実力を示す指標をもとに選ぶ
長期的な株式投資を考えていらっしゃる方は、すでにご紹介した手順で銘柄選びを実践することができます。
ただ、銘柄選びをもう少し厳密に進める場合は、指標を確認する必要があります。
銘柄ごとの指標は、投資効率や将来性などを考えるうえで欠かせないからです。
また、株式の購入も普段の買い物と同じで、割安・割高なタイミングがあります。
良い銘柄をできるだけ安く買うことが望ましいのは、普段の買い物と変わりません。
そこで、投資効率・銘柄の将来性・株式の購入タイミングを考えるうえで役立つ、以下4つの指標をご紹介いたします。
- 配当利回り
- ROE(自己資本利益率)
- PER(株価収益率)
- PBR(株価純資産倍率)
実際に銘柄を選ぶときには、複数の指標から総合的に評価しなければなりません。
ですが、まずは各指標を一つずつ確認していきましょう。
配当利回り:原則は高いほど投資効率がよい
先述した通り、株式企業に長期投資していると、株主は配当金がもらえます。
年に1回または複数回、配当が実施されます。
配当金で注意したいのは、1株あたりの配当金が多いからといって、必ずしも投資効率がよいとは限らない点です。
1株あたりの投資額、つまり株価が高ければ、その分投資効率は下がるからです。
そこで、株価に対する配当金の割合を示す、配当利回りに注目しましょう。
配当利回り(%)= 1株あたり年間配当金 ÷ 株価
※もしくは、「配当総額 ÷ 時価総額」
配当利回りが高いほど、一般的に投資効率は上がります。
日本企業の平均は2~3%ですから、4%以上あれば高いと判断できます。
ただし、配当金のなかに一度限りの特別配当が含まれていたり、株価が著しく下落していたりする銘柄の配当利回りは参考になりません。
なお、配当利回りの詳しい内容が気になる方は、以下の記事を参考にしてください。
株式投資は配当利回り4%~5%が理想的|利回り重視のリスクも解説ROE:高いほど企業の成長スピード・将来性あり
ROE(自己資本利益率)は、企業の収益性や効率性を測る指標です。
純利益を自己資本(≒純資産)で割ると、ROEが計算できます。
ROE(%)=( 純利益 ÷ 自己資本 )× 100
もしあなたが成長株を狙うなら、このROEの値は確認必須でしょう。
ROEは、企業の成長スピードや将来性を示す指標だからです。
一般的にROEの高さは、効率的に経営しているのかを読み取る手掛かりです。
ROEの高い企業ほど、同じ元手から生み出せる利益が大きくなります。
利益は配当金の原資にもなりますが、さらなる成長に向けた原資となることを忘れてはいけません。
そのため、効率的に利益を生み出せる企業ほど成長スピードが早く、将来性があるといえるのです。
日本企業は海外企業と比べて全体的にROEが低めで、10%以上が優良株の目安といわれています。
ただし、ROEも業界によって大きく異なります。
そのため、業界内における比較は欠かせません。
なお、企業が成長すれば当然ながら株価も上がります。
将来的に株式の売却を考えている場合でも、ROEは銘柄選びにおいて重要な指標になります。
PER:低いほど利益を生み出す力に対して割安
PER(株価収益率)は、会社が生み出す利益に対して、今の株価がどれくらい割安なのかを見る指標です。
投資効率に影響するだけに、多くの投資家が注目しています。
PERを算出するときは、株価を1株当たりの利益で割ります。
PER(倍)= 株価 ÷ 1株あたり純利益
※もしくは、「時価総額 ÷ 純利益」
日本企業のPERは、平均で約15倍程度とされています。
そのため、15倍より高ければ割高、安ければ割安と判断できます。
たとえば、PERが10倍の銘柄は、割安株と位置づけられるわけです。
割安株は一般的に買われやすい銘柄です。
たくさん買われれば株価が上昇しますから、いずれは適正な株価に戻ることが期待されます。
なお、PERは業界にも左右されます。
競合他社と比較しなければ割高・割安を正確に判断できませんので、ご注意ください。
PBR:低いほど会社の純資産から見て割安
純資産とは、資産全体から負債全部を差し引いた、返済義務のない純粋な資産のことを指します。
PBR(株価純資産倍率)は、会社の純資産から見て、今の株価がどれくらい割安なのかを測る指標です。
PBRを算出するときは、株価を1株当たりの純資産で割ります。
PBR(倍)= 株価 ÷ 1株あたり純資産
※もしくは、「時価総額 ÷ 純資産」
PERが純利益を基準に株価を見るのに対し、PBRは純資産(≒自己資本)を基準にするといった違いがあります。
ただ、PERもPBRも、その数値が低ければ割安株であると判断できる点は変わりません。
PBRも同じ業界で比較すべき指標ですが、一般的には1倍を基準に割高・割安を判断します。
まとめ
この記事では、株式投資の銘柄選びについて解説いたしました。
株式投資に慣れないうちは、ご自身が興味を持っている事業を手がける、身近な企業から選んでみましょう。
そのうえで、以下の3点で購入候補の銘柄を絞り込んでください。
- 営業利益の推移が右肩下がりではないか?
- 事業内容から企業の将来性に期待できそうか?
- 長期にわたって付き合っていけそうな企業か?
銘柄を絞り込めたら、配当利回り・ROE・PER・PBRといった指標からも株式会社を分析してみましょう。
指標を分析することで、投資効率・銘柄の将来性・株式の購入タイミングを判断できるようになります。
記事を参考にして、さっそく銘柄選びを実践してみてください。
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