株式投資だけでなくあらゆる金融市場において、100%の精度で予測することは不可能です。
ただ予想できないからといって、やみくもに取引してしまうと、それはギャンブルと何ら変わりません。
では、どのようにして、またどういった情報を頼りに予測していけばいいのでしょうか。
本記事では、予測精度を高める重要なテクニック「テクニカル分析」について解説していきます。
目次
テクニカル分析とは
テクニカル分析とは、過去の値動きを参考にして、そこから将来的な株価の値動きを予測することです。
以下のチャートを見てわかる通り、チャートには価格の変動具合を表すローソク足だけでなく、様々な「線」「点線」「波形」が描かれています。
これらは全て、過去チャートから算出されたものであり、描かれた情報を元に値動きを予測するというのがテクニカル分析の主な目的です。
過去の値動きと同じようになるとは限りませんが、似たような値動きになる可能性は十分考えられるため、様々な分析方法に関する知識があれば、より有利に取引できるようになるでしょう。
一見すると難しいようにも思えますが、証券会社が提供するチャートツールやアプリ等を使えば、初心者でも特に苦労することはありません。
また記事後半より、即戦力級のテクニカル指標をいくつかピックアップしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
テクニカル指標「インジケーター」とは
テクニカル指標ことインジケーターとは、テクニカル分析で用いられる、取引のタイミングや根拠を示すためのサポートツールです。
またインジケーターは「トレンド系」と「オシレーター系」の二種類に分類され、それぞれ特徴や使われる目的も異なります。
- トレンド系 ・・・相場の流れを大局的に把握し、相場全体の方向性を予測するための指標
- オシレーター系・・・投資家のポジション比率や売買攻勢など、相場の強弱を把握するための指標
各インジケーターを使い分けることで、相場環境を視覚的に捉えやすくなるため、最初のうちは色々な種類を試してみることをおすすめします。
またトレンド系・オシレーター系を同時に表示することで、さらにチャートの予想精度が高まりますので、ぜひ自分に適したインジケーターの組み合わせを探してみましょう!
代表的なテクニカル指標(トレンド系)
株式投資で勝てるかどうかは、「いかに上手くトレンドに乗じるか」これに尽きると言っても過言ではありません。
そこで本節では、初心者でも扱いやすく、なおかつ精度の高いトレンド系テクニカル指標について紹介していきます。
①:移動平均線
移動平均線は、一定期間の価格平均を繋ぎ合わせて作られる折れ線グラフで、トレンド系の中でも最も採用率の高いインジケーターです。
上画像のように平均を取る「期間」を3段階に分け、「短期」「中期」「長期」それぞれを表示するのが基本形です。
また移動平均線にもいくつか種類があり、直近のデータに重きを置いた加重移動平均線、さらに改良した指数平滑移動平均線なども考案され、活躍の機会や応用の幅もより広がったと言えるでしょう。
②: ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、標準偏差「σ(シグマ)」を用いて値動きの範囲を予測するためのインジケーターです。
チャート上では「±1σ」「±2σ」「±3σ」のバンド範囲が表示され、ローソク足がそれぞれのバンド内に収まる確率は下記の通りとなります。
- ±1σ(シグマ)に収まる確率:68.2%
- ±2σ(シグマ)に収まる確率:95.4%
- ±3σ(シグマ)に収まる確率:99%
バンド幅の広さやローソク足との位置関係から、トレンドの方向性と強さを読み取ることができ、特にローソク足がバンドに沿って値動きすることを「バンドウォーク」と呼びます。
チャートにボリンジャーバンドを表示しておくことで、ローソク足の行きつく先が予想できるようになるため、是非とも使い方を習得しておきたいところです。
③:パラボリック
パラボリックは、ローソク足の上下に表示される点(SAR)から、トレンドの方向性を見極めるためのインジケーターです。
- ローソク足が点(SAR)の上 → 上昇トレンド
- ローソク足が点(SAR)の下 → 下降トレンド
- ローソク足が点(SAR)と交差 → トレンド転換
また点(SAR)のスキマ間隔からトレンドの強さも読み取ることができ、トレンドが強ければ強いほど、点(SAR)の間隔も広くなります。
パラボリック1つで、トレンドの「強さ」「方向性」「転換点」全てを掴めるようになるため、スキャルピング等の短期取引において重宝するインジケーターと言えるでしょう。
代表的なテクニカル指標(オシレーター系)
オシレーター系のインジケーターが扱えるようになれば、高値掴みのリスクを極力回避できるようになります。
上で紹介したトレンド系と併用することで、よりチャートの予測精度が向上しますので、ぜひ以下のインジケーターを取引に役立ててみてください!
①:RCI
RCIは、波のように表示される指標によって、相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を掴むためのインジケーターです。
- +100側に近づく → 買われすぎ
- -100側に近づく → 売られすぎ
上画像のように、指標が下端に近づいたタイミングが買いのチャンスということであり、RCIを取り入れることで、売買のタイミングが視覚的に捉えやすくなるでしょう。
②:スローストキャスティクス
スローストキャスティクスは、0から100までの範囲で変動する「%K」「%D」「%SD」それぞれの数値を確認して、取引のタイミングを掴むためのインジケーターです。
- %K =(直近の価格 - 過去n日間の最安値)÷(過去n日間の最高値 - 過去n日間の最安値)× 100
- %D = %Kの単純移動平均
- %SD = %Dの単純移動平均
上画像で表示される赤線と青点線は、それぞれ「%D」「%SD」を表しており、二本とも「値25以下」かつ「上向き」となったタイミングが買いチャンスと判断されます。
③:サイコロジカルライン
サイコロジカルラインは、「投資家の心理」を数値化した指標です。
- 50% → 平常
- 75%以上 → 買われすぎ
- 25%以下 → 売られすぎ
分かりやすく言えば「もうそろそろ下落するのでは?」「これだけ連続して下落したから、今度は上昇するはず」といった投資家の心理状況を表面化させたものです。
今は「買いなのか」「売りなのか」を判断する際は、主観で考えるのではなく、サイコロジカルラインを用いて相場全体を捉えるよう意識してみて下さい。
初心者が押さえておくべきテクニカル分析のポイント
ポイント1:インジケーターの選び方
インジケーターの選び方としては、なるべくメジャーな種類を選ぶというのが1つのポイントです。
なぜなら多くの人が知っていて、そのインジケーターを意識する人が多くなるほど効力も増していくからです。
また、各種インジケーターはパラメータを細かく変更することができますが、基本的には初期値のまま使用して問題ありません。
その理由としては、多くの投資家が初期値のままインジケーターを利用するため、こちらもパラメータを変更しない方が大衆との目線を合わせやすくなるからです。
ポイント2:インジケーターの併用
上画像のように、インジケーターは単一で用いるよりも、いくつかを併用した方がより機能性を増します。
おすすめは「トレンド系」+「オシレーター系」の併用で、移動平均線とRSI、パラボリックとストキャスティクスなど、自分に適した組み合わせを見つけていきましょう。
また注意点として、インジケーターを3つ以上同時に表示するのはおすすめできません。
全てのテクニカル指標が同じタイミングで揃うことは滅多になく、どれを主軸にして判断すればいいのか分かりにくくなるためです。
ポイント3:デモトレードを活用
インジケーターはあくまでツールであって、絶対的な予測を可能とするわけではありません。
重要なのは使い手の技量なのであって、時間をかけてインジケーターを吟味することではないのです。
愛用するインジケーター、組み合わせを選択した後は、デモトレードを活用して、ひたすら練習に励んでみてください。
トレード毎に反省点・エントリー根拠・決済のタイミングなど、詳細をノートにまとめることで、より早い成長が期待できるはずです!
まとめ:テクニカル分析を取り入れて勝率を上げるべし!
本記事では、株式投資におけるテクニカル分析の概要や、初心者でも扱いやすいインジケーターについて解説してきました。
テクニカル分析は多くが深く、インジケーターも種類が豊富にあるため、何から手を出すべきか悩ましいかもしれません。
そんな時はデモトレードを活用して、片っ端からインジケーターを試してみることをおすすめします。
いち早く自分に適したテクニカル分析のスタイルを見つけることこそが、初心者を脱するカギとなるでしょう。
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