好きな地方自治体に寄附をすることで、さまざまな返礼品がもらえる制度といえば・・・?
そう、「ふるさと納税」ですね。
すでに制度が始まってから10年以上が経ち、今では多くの方が利用していますが、特に資産運用に興味のある方ほど、積極的に活用しているケースが多くあります。
なぜなら、ふるさと納税のメリットは、そもそも地方の返礼品がもらえることではなく「所得税・住民税の控除」が受けられるからですね。
そして、ふるさと納税制度の本来の目的は、こうした所得税・住民税の控除にあります。
そこで今回の記事は「ふるさと納税で住民税がどのくらいお得になるか」へ焦点を当てて、お届けします。
ぜひ最後までご覧くださいね。
目次
なぜ、住民税が安くなるのか?
ふるさと納税はそもそも「納税」という名前が付いていますが、実際に行うのは「寄附」です。
つまり、好きな地方を応援したり、自分の故郷の自治体に感謝をこめてお金を寄附したりするのが、ふるさと納税の趣旨になります。
ただ、好き好んで寄附をするだけでは目に見えるメリットが何もありませんから、地方からは「返礼品」という形でお返しが来ます。それはお肉だったりお魚だったり、その地方自慢の特産品が多いわけですが、本来ならこれで完結してこそ「寄附」になりますよね。
ただ実際のところ、寄附の対象が「地方自治体」というところがポイントで、利用者の寄附金は各自治体の歳入になるため、実質的には税収と変わりません。
そこで、これを事実上の「納税」とみなし、その分の税金を本来の所得税や住民税から控除するというのが、ふるさと納税の根本的な仕組みとなっています。
つまりふるさと納税は、単純に住民税が安くなるのではなく、希望の自治体にあらかじめ「納税」をした分、本来納めるはずだった税金を納めなくてよい、という制度なんです。
ふるさと納税とは?いまさら聞けない仕組みを解説住民税控除は本当にお得?
ここで多くの読者さんは、こう思われるかもしれません。
「じゃあ、実際に住民税が安くなるんじゃなくて、その分を前払いしてるだけじゃないのか?」
はい、実際にはその通りです。ふるさと納税は、あくまで住民税そのものが安くなるのではなく、あなたがお住いの自治体に納めるはずだった住民税を、他の地方自治体へ代わりに納めているだけ。
その上、ふるさと納税の制度を使うためには2,000円の実質自己負担額がかかってくるため、トータルで考えると、住民税が安くなるどころか、むしろ2,000円を余分に納めていることになりますね。
ちなみに、それで実際どのくらいの金額が住民税から控除されるのかというと、こちらは2つの計算方法の組み合わせで決まります。
それが「基本分」と「特例分」になりますので、次の項目でご紹介しますね。
住民税控除額の計算方法
ここではモデルケースとして、年収400万円の共働き夫婦の例を考えてみましょう。
この夫婦の場合、ふるさと納税の寄附上限額はおよそ42,000円。これをもとに控除額を割り出す計算方法がこちらです。(実際には所得税控除もありますが、ここでは住民税のみに絞ってご説明します)
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▼住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税の寄附金額−2,000円)×10%
つまり、42,000円ー2,000円×10%=4,000円の控除
▼住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税の寄付金額−2,000円)×(90%−所得税率)
所得税率を10%とした場合、42,000円ー2,000円×80%=32,000円の控除
▼実際の住民税控除額=4,000円(基本分)+32,000円(特例分)=36,000円の控除
このように、住民税が36,000円も安くなりました。
実際は、ここへさらに所得税控除も上乗せされるため、最終的には40,000円ほどの金額が控除されます。したがって、42,000円の寄附上限に対して、2,000円の実質自己負担で、残りの金額が控除されたわけですね。
なお、実際の寄附上限額や控除額は、各世帯の年収や家族構成によっても大きく異なるので、こちらの総務省のポータルサイトなどで、具体的なシミュレーションを行ってみてください。
●総務省 ふるさと納税ポータルサイト 寄附金控除額の計算シミュレーション
しかし、いかに税金が40,000円も安くなろうと、実際には42,000円の寄附を行うわけですから、実質的には損をしているように思えないでしょうか?
むしろ2,000円の自己負担があるので、事実上はマイナス収支になるのが、現在のふるさと納税自体の仕組みです。しかしもちろん、それを全て上回る大きなメリットが、ふるさと納税にはあります。
そう、それが各地方自治体による、贅を凝らした返礼品の数々なんですね。
お得な返礼品を楽しもう!
確かに、ふるさと納税では住民税を大きくカットできますが、それ以外に2,000円分の自己負担が上乗せされるので、お金の面ではマイナス計算かもしれません。
しかし、それを補って余りある価値を持った品々が、あなたのもとには届くわけです。
それがつまり、返礼品ですね。
ちなみに返礼品の基準は、現在では寄附金額の30%以下と通達がなされており、ほとんどの地方自治体がそれに従っています。つまり、42,000円をふるさと納税で寄附した場合、おおむね12,600円相当を上限とした返礼品を、受け取ることができます。
例えばそれは、地方特産の農産物やフルーツ、旬の食材はもちろん、伝統工芸品や芸術品、さらにその地方を舞台にしたアニメのグッズなど、さまざまな返礼品が用意されています。
自分の好きな地方自治体に納税しながら、2,000円の自己負担で12,600円相当の返礼品がもらえるなら、これはトータルで考えると、非常にお得。
ちなみに、あなたの収入が多ければ多いほど寄附上限額も一定までは増えるので、仮に寄附上限額が60万円だった場合は、同じ2,000円の自己負担だけで、18万円相当の返礼品がもらえることになります。
こうした点からも、資産運用をしながらふるさと納税を活用することは、単に住民税の控除という目的を超えて、返礼品で豊かな生活を楽しめるメリットがあります。その意味では、資産が増えれば増えるほどお得に生活することができますし、同じ税金を納めながら、それ以上のリターンを得ることができるわけなんです。
ふるさと納税と住民税:まとめ
このように、ふるさと納税を使えば、住民税を大幅に控除することができます。
ただ、それはどちらかというと税金の前払いであって、事実上のメリットにはなりません。それよりもお得なのは、少ない自己負担金額で、それ以上の価値を持った返礼品がもらえるということ。
どうせ同じ住民税を納めるならば、自分の好きな地方を応援したり、懐かしい故郷に還元したりと、税金の納付先を自分で選べたほうが、ご自身にとっても価値ある税金の納め方になるかもしれません。
一度手続をしてしまえば、それほど難しい制度ではないので、ぜひあなたもふるさと納税で、お得に住民税を納めるライフスタイルを実現してみてはいかがでしょうか。
それでは今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。