資産運用を行う際、必ず考えたいのが「リスク」と「リターン」です。
実は一般的な言葉の意味と違い、資産運用の場合はその言葉のニュアンスも変わってきます。
目次
資産運用の「リスク」は不確実性と値動きの振れ幅のこと
まず、資産運用のリスクについて説明しましょう。
これは一般的な意味とは違い、不確実性という意味や、値動きの振れ幅のことを指します。
不確実性とは
不確実性とは、単純に「将来どうなるかわからない度合い」というように考えていいでしょう。
例えば100万円を銀行口座に定期預金で入れていたとします。
そうすると、預金で指定した期間分は必ず100万円の価値を持ちますし、さらに利息がついて100万円と利息分は確実に戻ってきます。
これを「不確実性が低い」ということです。
一方、この100万円を株に投資したとしましょう。
株の値動きは将来的にどうなるか読みづらい傾向があり、将来的に値上がりするか値下がりするかわかりませんよね。
これを「不確実性が高い」とされています。
このように、投資後にどのくらいの資産になるか、ということがわかりづらければわかりづらいほど、不確実性は高いとされています。
不確実性の見分け方
この不確実性について見分けるのは、あまり難しいことではありません。
先ほどの定期預金と株の違いについて言えば、一般的に定期預金のほうが不確実性は低いとされています。先ほど例に出したような「定期預金」や「個人向け国債」などはこの不確実性が少ないため、低リスクの商品とも言われています。
若干わかりにくいのが「地方債権」や「社債」と呼ばれるような、会社や地域が発行している債権です。
これも一定額の確実性はあるのですが、例えば会社の場合は倒産などのリスクもあります。
各地域もこれから少子高齢化に伴って不確実性が上がるため、かなり投資先としては不確実性があるとされています。
さらにその上なのが「株」でしょう。これは特に「日本国内株」よりも「外国株」のほうが値動きを読みにくく、不確実性が高いとされています。また「外貨」なども不確実性が高いとされています。
最近人気の「仮想通貨」などは、さらに不確実性が高く、極めてリスクの高い商品と言えるでしょう。
値動きの振れ幅とは
値動きの振れ幅とは、単純にその商品がどのくらい値動きがあるか、値動きの幅のことを指します。これはグラフを見るとわかりやすいでしょう。
時間を横軸、価格を縦軸にして値段をグラフ化した場合、グラフ上では一定の振れ幅があります。この振れ幅が狭ければ狭いほど値動きが低いとされ、一方振れ幅が高ければ高いほど値動きがあると考えられています。このため、値動きが大きい商品ほどリスクがあるものです。
値動きの振れ幅は様々な要素を含む
この値動きの振れ幅ですが、一般的には様々な要素を含みます。まずはこの値動き自体がリスクだという考え方です。
これを「価格変動リスク」と言い、価格の変動が大きければ大きいほど損をする可能性が高く、リスクが大きいとされています。
次に、債権や定期預金などであれば、事前に金利が指定されているものです。この金利が変動するリスクを「金利変動リスク」と呼ばれています。というのも、債権では金利が高いものほど債券価格が下がり、金利が下がるほど債券価格は上がるとされているためです。
外国債や外国株、外貨取引などを行う場合、気をつけたいのがカントリーリスクです。これは国ごとに違うリスクで、その国の政治・経済の状態が安定しているかどうか、通貨の価値が極端に大きく振れないかというようなことがリスクになります。安定した先進国であればリスクは低く、政治が不安定な発展途上国ほどリスクが高いとされているのです。
このように、様々な要素がリスクとされており、値動きに反映されます。
また、これらの要素が小さければ小さいほど、値動きの振れ幅は小さくなるとされています。
資産運用のリターンとは「運用によって得られる利益」のこと
次に、資産運用のリターンについて説明しましょう。資産運用のリターンとは、運用によって得られる利益のことを指します。
運用によって得られる利益とは
この運用によって得られる利益とは、運用することによって出る収益、つまりプラスになった分のことです。
再度定期預金と株の話をしましょう。
定期預金の場合、一般的にこの期間この金額を預ける、と銀行に申込みをし、その期間が満了したら普通預金よりも高い利息がつきますよね。この定期預金の利息は確実につきますが、あまり高い利益だというわけではありません。
一方、株の場合は利息などの決まりはありません。ただ、上手に企業を選べば会社は成長し、持っている株の価値も大きく上がります。場合によっては年利10%、20%など極端に成長することも夢ではありません。
また、これは売買益だけの話です。株を持っていることで定期的に配当があるか、場合によっては株主優待も期待できるでしょう。それらを期待すれば、さらに収益性は上る可能性が高いのです。
このように、運用によって得られる収益そのもののことを、資産運用の世界ではリターンと言います。
運用によって得られる利益はマイナスの場合もある
気をつけたいのは、商品によっては利益がマイナスになることもある、ということでしょう。
例えば定期預金の場合、1000万円までとその利息分であれば国が保証してくれます。これを「ペイオフ」と言い、仮に銀行が破綻しても、国がその金額までであれば保証してくれるのです。ですので、それ以上の金額を預けていると銀行が破綻した場合戻ってこない可能性があるのです。
一方、株式の場合は必ずしもプラスになるとは限りません。値動きによって投資した時点よりも金額が下がったり、会社が倒産したりすれば株の価値はゼロになり、投資した金額は帰ってきません。
このように、必ずしもリターンはプラスになるわけではないのです。ある程度の保証があるものでも、必ず全額が戻ってくるというわけではありません。最悪資産を失ったり、借金をしたりする可能性もあります。
このため、投資先によってはリターンがマイナスになることもあると覚悟しておきましょう。また、それぞれの投資先のリターンは把握しておきたい所です。
リスクとリターンの関係
ここまで、リスクとリターンについて説明してきました。実はリスクとリターンはとても深い関連性があります。投資を行う場合、必ずチェックしておきましょう。
リスクとリターンは比例する関係
この2つですが、リスクとリターンは必ず比例する関係を持っています。実はリスクが大きければ大きいほどリターンは高くなり、一方リターンが少ない商品ほどリスクが低い、というのが一般的な投資の世界での傾向です。
例えば定期預金の場合、普通預金のように好きな時に引き出したり支払いができたりする、というわけではありません。ただ、一定期間預けていれば必ず利息をつけて戻ってきますから、リスクはとても低いと考えられています。
銀行の破綻でもペイオフなどで保証がしっかりあるので、リスクが低い分リターンも少ない傾向があります。
一方、株の場合は倒産リスクや外国との取引であればカントリーリスクなどもあり、定期預金ほどリスクが低いわけではありません。ただ、配当や株主優待など、比較的リターンが大きいのが特徴です。
株の場合、特にリスクは企業によって違います。企業体力があり長いこと経営している規模の大きい会社の場合、リスクは株全体で見ても低い傾向があります。
このような企業は全体的に人気です。なおかつ安定運営のために値動きも安定しているため、利益はそんなに高く出さなくても十分人気があり、売買益によるリターンが期待できます。
一方、起業してまだ年数が浅く、企業規模もそこまで大きくない企業の場合、将来性が不確実なこともありリスクは高い傾向にあります。ただし、将来的に大きく成長すれば株の利益は高くなります。
また、企業が成長すれば将来的に配当が高くなるか、株主優待も期待できるでしょう。このように、将来的な成長を見越して株を買うというのも方法です。
リスクとリターンの関係に注意
一般的には、普通預金よりも定期預金がリスクもリターンも大きく、さらにその上に債権があり、その上に投資信託、その上に株という関係があります。気をつけたいのは、ハイリスクなものほどハイリターンが期待できるというものです。
借金を負いかねないもののほうがより高額な利益を出す可能性がある、ということでもあります。このため、投資に失敗した時に借金を背負うこともある、ということを覚えておいて下さい。