投資の対象として代表的な、株式投資と投資信託。
この2つには、まったく違う良さがあります。
それだけに、どちらを実践するべきか迷うかもしれません。
一歩踏み出すためにも、株式投資と投資信託の違いを知っておきましょう。
そこで、この記事では株式投資と投資信託における3つの違いを中心に解説いたします。
どうぞ最後までご覧ください。
目次
株式投資と投資信託の違いは単品かセット品か
株式投資と投資信託において、一番の違いは中身です。
株式投資は単体商品、投資信託はセット商品にたとえることができます。
まずは、株式投資と投資信託、それぞれの中身を確認してみましょう。
《株式投資》企業の発行する株式の単体商品
株式投資では、個別の銘柄を直接指定して買います。
銘柄とは、キヤノンやファーストリテイリングといった企業が発行している株式のことです。
株式を持っていると、株主として配当金や株主優待を受け取れます。
安定した企業の株式であれば、保有し続けるだけで利益が生じます。
また、成長企業の株式であれば、株価の上昇が見込めます。
上場まもないころの低い株価で株式を買い、企業が成長してから高い株価で株式を売れば、株価の差額が大きな利益になります。
ただし、成長企業であっても、必ずしも株価が上がるとは限りません。
経営基盤が安定していないだけに、倒産する可能性も考えられます。
倒産した場合は投資資金の大半が手元に戻りませんので、過度に期待しないようにしましょう。
なお、金銭的メリットの他にも、株主総会に参加して会社の意思決定に加わることが可能となります。
株主になると、会社の所有者の一人として扱われるからです。
《投資信託》株式・債券・不動産などのバラエティセット
投資信託には、株式や債券、不動産など多種多様な投資先が含まれています。
このように、複数の投資先から構成される点が投資信託の特徴です。
投資先を決めているのは、ファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロ。
ファンドマネージャーは複数の投資家から集めた資金を投資に回し、運用成果を出していきます。
ただし、各投資信託はそれぞれの運用方針によって、投資対象とする分野が絞られています。
そのため、株式の割合といった構成は投資信託ごとに違います。
また、投資信託のなかにも違いがあり、安定した利益を目指すパッシブ型と、より高い利益を積極的に狙うアクティブ型が存在します。
投資信託ごとの違いも、よく調べておきましょう。
日経平均株価やTOPIXといったインデックス(指数)に連動した運用成果を目指す、パッシブ型の投資信託です。
そのため、投資信託のなかでも安定した資産運用を期待できます。
【初心者向け】ETFと投資信託の違いは何か?
株式投資と投資信託の特徴に関する3つの違い
株式投資は単品、投資信託はセット商品。
この違いが、商品の性質にも違いを生じさせています。
そこで、株式投資と投資信託の特徴に関して、主な違いを3つご紹介します。
投資する前に、両者の性質の違いを十分に把握しておきましょう。
なお、株式投資と投資信託、どちらにも元本の保証がない点に違いはありません。
どちらを選ぶにしても、余裕資金を使って投資することを心がけてください。
《違い①》投資信託のほうが初心者向け
投資信託では、管理・運用までをプロに一任(信託)します。
投資先の中身だけでなく、購入後も基本的に任せきりで大丈夫です。
そのため、自分で投資先を探したり分析したりする必要がありません。
投資先の企業を自分で調べて決める株式投資とは、この点が大きく違います。
したがって、投資信託は投資知識の少ない投資初心者でも始めやすいといえます。
ただし、投資信託の商品そのものは自分で選ぶ必要があります。
投資信託の選び方については、こちらの記事を参考にしてみてください。
《違い②》株式投資のほうが手数料が低い
ファンドマネージャーが運用する投資信託には、一般的に信託報酬がかかります。
信託報酬とは、投資信託の管理・運用費用を指します。
よって、実際に受け取れる利益は、収益から0.2~2%程度の信託報酬などを差し引いた分となります。
注意しなければならないのは、信託報酬は継続的に支払わなければならない点です。
一般的な投資信託は長期保有を前提としていますから、累計支払い額は意外なほど高額になります。
◎以下のケースで信託報酬の累計支払い額を計算
- 投資額:100万円
- 信託報酬:年率1.0%
- 消費税:10%
- 保有期間:20年間
そのほか、投資信託には購入時手数料などの一時金もかかります。
一方で、株式投資で差し引かれるのは、せいぜい株式の売買手数料くらいです。
つまり、信託報酬の分だけ、投資信託は株式投資よりも利益が出づらいといえます。
なお、株式投資と投資信託のどちらの利益に対しても、原則20.315%の税金がかかります。
投資信託の手数料、何にどれだけ払うのかを知っておこう《違い③》株式投資のほうがハイリスク・ハイリターン
一般的に、投資信託はミドルリスク・ミドルリターン、株式投資はハイリスク・ハイリターンと位置づけられています。
(ローリスク・ローリターンとされているのは、国債などの債券です)
投資信託のほうがリスクが少ない理由は、分散投資しているからです。
株式・債券・不動産といった複数のジャンル、幅広い銘柄に投資します。
株式投資であっても、特定の業界に偏らずにバランスよく銘柄を選定することで、ある程度リスクを抑えることはできます。
しかし、元々複数の投資商品で構成されている投資信託にはかないません。
半面、投資信託ではハイリターンが望めません。
リスクを抑えるほど、突発的なリターンも起きなくなるためです。
顧客の資産を預かる投資信託では、リスク回避が重視されています。
積極的に資産を運用したいのなら、投資信託よりも株式投資のほうが向いています。
ただし、投資信託を利用している場合、投資家は株主とは扱われません。
そのため、投資信託では株主優待を受けられません。
株式投資と投資信託は併用するのが望ましい
株式投資と投資信託の主な違いを、3つご紹介しました。
それ以外の違いも含めて一覧にまとめると、以下の通りです。
株式投資 | 投資信託 | |
---|---|---|
投資判断・運用管理 | 自分で行う | ファンドマネージャーに任せる |
投資スタイル | 長期投資・短期投資ともに可能 | 長期投資がメイン |
リスク・リターン | 相対的に高め | 相対的に低め ※債券よりは高め |
得られる利益 | 配当金・株主優待・ 株価の売買差益 |
分配金・基準価額の差額 |
手数料 | 低め | 高め ※信託報酬等を含む |
必要資金の目安 | 10万円~ ※単元未満株の不使用時 |
1万円~ |
NISA・iDeCoの利用 | NISAなら利用可能 | どちらも利用可能 |
株式投資と投資信託には、さまざまな点において性質に違いがあることが分かります。
そのため、両方にバランスよく投資すれば、堅実かつ積極的な資産形成を図ることができます。
投資においては、性質の異なる商品に分散投資することがリスク回避になるからです。
なお、株式投資と投資信託のどちらを先に始めればよいのか迷った場合は、ひとまず投資信託から始めてみるのがオススメです。
ただし、株式投資は個別銘柄の分析や経済ニュースの収集を自分で行うだけあって、実践的な投資知識や経験が豊富に得られます。
効率的な資産形成を追求していくことができますから、なるべく早く株式投資も始めてみるとよいでしょう。
まとめ
この記事では、株式投資と投資信託の違いについて解説しました。
株式投資は単体商品を、投資信託はセット商品を買うイメージです。
両者の特徴について主な違いは、以下の3点にまとめられます。
- 投資信託のほうが初心者向け
- 株式投資のほうが手数料が低い
- 株式投資のほうがハイリスク・ハイリターン
基本的には、株式投資なら大きな利益が出る可能性があり、投資信託なら安定的な利益を期待できます。
両者は反対の性質をもっていますから、どちらにもバランスよく投資することで、堅実かつ積極的な資産形成を図ることが可能です。
ともあれ、まずは少額からでもよいので投資を始めてみましょう。
一歩踏み出せれば、投資は難しくありません。