前回は、投資初心者の方にオススメの金融制度についてご紹介しました。では具体的に、資産形成のためにどの金融商品を活用していくかというと、積立てによる少額投資を前提にすれば、一般的には「投資信託」(投信)になります。
そこで今回は、投信とはなにか、投信にはどんな種類があるのか、という点について、まずはなんとなくイメージとして把握してもらうことを目的にご紹介します。
目次
投資信託(投信)とは「共同投資」
普通預金などの誰もがわかる金融商品とは異なり、投信がとてもわかりにくい、イメージしにくいものと感じるかたは少なくないでしょう。投信は一言でいってしまうと「共同投資」「シェアする投資」です。
投信のしくみ
まず、多くの投資家がお金を出し合って、投信という金融商品を買います。その個々の投信には必ず運用の専門家がいて、我々お金を出す投資家に代わって運用してくれます。
運用の専門家は、我々の大切なお金を世界中のどこかの株式・債券・不動産などに分散しながら投資してくれます。そして分散投資した結果獲得した経済的利益を、我々投資家に還元してくれるしくみです。
身近な例でいえば、社会保険料を支払っている全員で、老後世代を支えている年金や、カーシェアリングなどでレンタルする利用者が、その車代などを間接的に買ったりメンテナンスしているシェアビジネスなどと同様のしくみになっています。
投資信託(投信)の種類
投信の種類といっても、色々な切り口によって分類方法もかわってきますが、少額積立投資で投資家がかなり判断に迷うことのひとつが、運用方針による違いがよくわからないという点です。
一般的に運用方針による特徴を大きく2つにわけるとするなら、「インデックスファンド」か「アクティブファンド」かという分け方で判断することが多くなっています。
インデックスファンドは各指標に連動させる運用方針
世界中にある株式や債券などの市場には、その市場を代表する指数(インデックス)が設定されています。各市場を代表する株式などを集め(組入れ)て、学校のクラスのテストの「平均点」などのように、全体としての数値を算出しています。
各インデックスは、各市場全体や、もう少し特徴あるテーマなどに絞ったりしながら、総じて全体的に過去から現在へどのように動いてきたのかをわかりやすく把握できるようになっています。単純にいってしまうと、現在のインデックスが過去のある時点の2倍になっていれば、その過去より倍の成長をしてきたということがわかります。
各市場全体や、特徴あるテーマなどにおいて、総じてどれくらい成長・増加してきたのかを数字として把握しやすくなっており、各インデックスと連動して動くことを目指した運用方針になります。インデックスを上回る成果を上げることが目的ではなく、あくまでインデックスと連動させるのが目的です。
アクティブファンドはより多くの収益獲得を目指す運用方針
その投信の運用哲学、運用方針などに従って、運用の専門家が組入れる株式などを選び、何を買うか、いつ買うか、いつ売るかなどは、専門家の判断に委ねられます。
参考値としてのインデックスを上回る成果を目指したり、インデックスと関係なく、より多くの収益を獲得するために、専門家が独自に運用します。
また、インデックスファンドに連動させるのではなく、インデックスと連動するものへ投資しながら、専門家がタイミングなどを見計らって、機動的に売買などを行うアクティブファンドもあります。
何を良いと思うか、信じられるかでまずは選ぼう!
インデックスファンドとアクティブファンド、結局どっちが良いの?というご質問には、正解があるものでもありません。
世界中の金融商品を、10年などの長期間でみてみると、結果的にインデックスファンドのほうがアクティブファンドよりも優秀な成績を出している投信が多くなっています。これからもそうとは限りませんが、どちらにしても、最終的には我々投資家の価値観・考え方次第ということになります。
インデックスファンドであれば、そのインデックスの成長・値上がりに賭けることになりますし、アクティブファンドであれば、その運用方針や専門家を良いと思えば、買ってみるのも良いでしょう。
インデックスファンドは、その各インデックスが日本なのか、日本以外の国・地域・テーマなのか、日本のインデックスならどのインデックスなのかを決めていきます。
日本の代表的な株式のインデックスであれば、「日経平均株価」(日経225)であったり、「TOPIX」(東証株価指数)などがありますし、日本を除く先進国であれば「MSCIコクサイ」などがあります。世界中の株式市場に投資したいなら、「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」などがあります。
アクティブファンドであれば、インターネットでそのファンドのWEBサイトで調べてみたり、何が人気なのかランキングを見てみたり、セミナーや勉強会などで、運用の専門家から直接話を聞いたり、アドバイザーから判断基準を教えてもらいながら、選んでいくと良いでしょう。
どの運用方針が良いかは、最終的には投資家自身が決めていくことですが、まずは細かい知識やノウハウを学ぶことよりも、ザックリとした大まかなイメージを把握していただいてから、今後の具体的な商品選択の助けになれればと思っています。