資産を運用していくなら、当然、安全に運用できる投資先を探しますよね。
「投資」という言葉に対しては、「ハイリスク」というイメージが拭いきれず、なかなか一歩を踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが、リスクにおびえる必要のない投資も世の中には存在しています。
今回は、リスクの少ない元本保証について解説していきたいと思います。
目次
元本保証と元本確保
リスクの少ない投資には「元本保証」と「元本確保」の2つがあります。
元本保証で資産を運用していくにあたり、2つの違いを理解しておく必要があるので、まずは違いの説明からさせていただきます。
元本保証
投資先に投入する資金を「元本(がんぽん)」と言います。
この元本が購入した投資商品や投資先の状況によって減ってしまうことを、元本割れ(がんぽんわれ)と言います。
元本保証というのは「元本割れしない」ことを保証している投資になります。
例えば、不動産に500万円を投資した後に、投資先の不動産がなくなったとしても、元本の500万円は必ず返ってくる。
つまり”何かあったときに、得もないけど損もない”という状況が元本保証となります。
元本確保
元本確保は言葉だけ見れば似ていますが、元本保証と違って「元本割れの保証」をしているわけではありません。
もちろん、基本的に元本は返ってきますし、運用期間中に元本が減ることもありませんが、投資先に支払い能力がなかった場合、元本が返ってくることはありません。
違いをあげると、元本確保の方に不安を感じてしまうかもしれませんが、元本保証や元本確保を提供できるということは、投資先自体にそれだけ信用があると捉えることもできます。「低リスクだけど似て非なるもの」という認識だけしていただければ大丈夫です。
元本保証の投資商品
元本保証と元本確保の違いがわかったところで、続いては実際に資産運用として活用できる、元本保証と元本保証に近い投資商品をご紹介したいと思います。
銀行預金
ほとんどの方が銀行の口座を持っていると思いますが、銀行口座に入れているお金には金利がつくので、預金も立派な資産運用になります。
銀行預金のいい点は、完全な元本保証で資産を運用することができるところです。
外貨預金は違うのですが、普通預金や定期預金なら1,000万円まで元本保証をしてくれます。
ただ、現在の金利はかなり低く、100万円を預けても1年間で100円しか増えない利率なので、資産運用というよりは資産保守の役割のほうが強いかもしれません。
個人向け国債
国債は国が発行している債券のことで、元本確保の投資商品で、売却することもできます。
国債は一度購入したら一定期間は持っていないといけない投資商品で、利率が変わる「変動10年」と利率の変わらない「固定5年」「固定3年」の3種類にわかれます。
10年・5年・3年の各年数は満期の期間を表していて、その期間保有していないと、元金割れする可能性が発生します。
例えば、固定5年の国債を100万円分購入した場合、途中で売却してしまうと、中途換金調整額というものが発生し、元本割れの原因になります。
ただ、5年保有し続ければ、満期になった時点で購入額はすべて返還されますし、保有している間は年間2回の利子を受け取ることができます。
国が発行している債券ですから、元本が返還できないほどの経済危機に陥ることは、あまり考えられませんので、低リスクの投資だと言えます。
地方債
地方債は地方自治体が発行する債券で国債と一緒です。
種類は誰でも購入できる「市場公募地方債」と、その地域に住んでいる人だけが購入できる「住民参加型市場公募地方債」の2種類があります。
国債との大きな違いは利率で、各地方自治体によって利率は様々ですが、地方債のほうがより利息をもらえる場合が多いです。
また、地方債は各自治体の収入源にもなりますので、出身地やお住まいの地域など、思い入れのある地域の地方債を購入することで貢献できる面もあります。
2006年に夕張市が破綻した例もあるので、必ずしも元本割れしないとはいえませんが、それでも地方自治体が破綻すことはほとんどあり得ないので、地方債もリスクの低い投資商品です。
個人向け社債
社債も国債と同じで元本確保の投資商品です。
企業が資金を調達するために発行されるもので、国債同様に保有中は利息が支払われ、満期になると元本が全額返還されます。
国債と違い社債には、「普通社債」と呼ばれる、利息だけもらえるものと、「転換社債」「ワラント債」といった、企業の株とセットになっているものがあります。
「普通社債」は一定期間の保有を終えると元本が返済され、保有中は利息がもらえます。
「転換社債」は普通社債の仕組みに加えて、社債を発行した会社の株と交換できる債券です。
「ワラント債」は普通社債の仕組みに加えて、社債を発行した会社の新規株を購入できる権利のついた債券です。
社債は国債よりも利率が高い傾向ですが、その分、購入単価も高いことが多いです。
そして、国に比べると企業のほうが破綻はしやすいので、元本割れのリスクは国債よりは高いと言えます。
貯蓄型保険
貯蓄型保険とは、病気やケガなどの「万が一の事態」に備えながら、貯蓄もしていける保険のことです。
代表的なものとしては、学資保険や個人年金保険などがあげられます。
なぜ保険が資産運用になるのかというと、満期になったときに受け取ることができる「満期保険金」や解約時に受け取ることができる、解約返戻金(かいやくへんれいきん)が、年数によっては元本を超えることがあるからです。
もちろん保険会社にも倒産や経営破綻の可能性はあるので、元本確保の形になるのですが、それでも元本割れのリスクは少ないと思いますし、何より万が一の際の保障としても機能しますから、メリットも十分にあると言えます。
公社債投資信託
公社債投資信託は国債や地方債などの公社債だけで運用される投資信託のことで、元本割れしにくい債券しか扱わないので、リスクの低い元本確保型の投資商品になります。
ただ、マイナス金利の導入などが起こると、金利が0%になってしまうといったことも起こるので、継続のタイミングは見極めが必要かもしれません。
元本保証のメリット
元本割れのリスクが低い投資商品を紹介してきましたので、元本保証の安全性は、すでにお分かりかと思いますが、メリットはまだあります。
元本保証での資産運用は、普段お仕事が忙しく、株やFXなど売買によって利益を得る投資ができない方にオススメです。
なぜなら、「保有さえしていれば勝手にお金が増えていく」という面があるためです。
比較的知識や経験が浅くても取り組みやすい投資といえるのではないでしょうか。
元本保証のデメリット
元本保証のデメリットは、リスクが少ない反面、リターンも少ないことが多いです。
そのため、まとまった金額を手に入れようとしたら、その分、資金量も必要になってきてしまいます。
まとめ
お伝えしてきたように、元本保証や元本確保の投資は、資産を失うリスクも低く、初心者でも始めやすい内容のものが多くあります。
投資を始めたいが、リスクの不安をどうしても感じてしまうという方は、元本保証の投資商品から始めてみましょう。
何もせずにお金が増えていく感覚を、まず味わってみるのはいかがでしょうか。