為替相場のセオリーの一つに、金利が上がると短期的に買われやすい。しかし、長期的には安くなるということがあることをご存知でしょうか?
金利が高いと金利収益が得られる。
FXのトレードスタイルの一つとして、円キャリー・トレードのお話を何回かに分けてご紹介しましたね。金利が高い通貨を買うと多くの金利をもらうことができる。
それでは、皆が、同じように考えて、高金利通貨を買い続けると永遠に上昇を続ける。そんな夢のような話があるのでしょうか。
それが現実ならば、金利が高い通貨を買えば、確実に儲かります。これほど、確実な投資方法はないように思えてきますね。でも、現実は、それほど単純ではなく、そう上手くは行きません。本日は、その辺りのお話を行います。
金利上昇トレンドに取り残される日本と海外の「金利差」開けば、円キャリー・トレードのチャンス!目次
金利が高い低い。どちらの通貨が買われやすい?
ここに、金利が5%の通貨と1%の通貨があります。どちらの方が、上昇しやすいのかを考えてみます。あなたなら、どちらの通貨を買いますか?
シンプルに考えると、金利が高い通貨が買われそうな気がしてきますね。なぜって、定期預金なら、金利が高い方がお得で人気ですよね。外貨も同じような気がしてきます。
金利の高い通貨は上昇する?
外貨投資の基本的なセオリーは、金利の高い通貨は、上昇しやすい。つまり、金利が上昇しそうな状態にある通貨は、通貨価値も上昇しやすいと言えるでしょう。
※通貨の動きには、金利以外のいろんな要因があります。そのため、金利面だけで判断してはいけません。
金利が高い=インフレ
では、肝心の命題に戻ります。金利が高い通貨を買えば、必ず儲けることができるのでしょうか?
残念ながら、そうは問屋がおろしません。短期的には、高金利通貨は、金利が高いため、上がりやすい傾向にあります。米ドル/円や英ポンド/円の動きについても、米国債の金利が上がれば、米ドル高円安に動くことが多いですからね。
しかし・・・ここからが大事。中長期的な動きは、逆。
そう、高金利通貨は、長い期間で見ると下がりやすいということも為替相場のセオリーなのです。
インフレ=お金の価値が安くなる
金利が高い通貨は、中長期で見ると安くなりやすいのが現実的な話。これがなぜかということを知りたいですよね。その理由の一つがインフレ。
高金利通貨は、インフレであるということ。インフレとは、お金の価値がモノに対して下がること。すなわち、その国の経済がインフレ状態であり、お金の価値が下がっていることを意味しています。=通貨の購買力低下。
そして、お金の価値が下がるということは、物に対して下がる「物価だけ」を示しているわけではありません。他国の通貨や基軸通貨である米ドルに対して安くなるということ。
実際、長きに渡り、低金利の続く日本円を見てください。もし、高金利通貨が買われて、低金利通貨が売られるのなら、日本円は、相当、円安になっているはずだと思いませんか。
ところが、実際のところ、金利の低い日本円は、長期的に見ると、強い=円高状態です。このことを見ても、高金利通貨が、長期で下落しやすいという一つの証明になると思います。
月足=長期チャートを見ると、円安トレンドがずっと続いているわけではないことをおわかりいただけると思います。
結論:短期的には金利が高い方が買われて上昇しやすいものの、長期的には、金利の安いほうが高くなる!
金利平価説について
もう一つ、金利平価説という為替レートを決める理論をご紹介いたします。これは、どの通貨で資産を持っていても、収益率が同じになるように、為替レートが決まるという説。
高い利回りの通貨を持っていても、為替レートの下落で相殺されるように、為替相場は変化するということになります。
では、外貨投資は無駄かというとそんなことはありません。中長期といっても数年レベルの長い期間での話。それこそ、円キャリー・トレードがブームになったときのように、数年間に渡って、投資資金が高金利通貨にシフトし続けるようなこともあります。
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